武者ラボ代表の武者 圭です。
この写真は、東京の日本橋にあるコレド室町で見つけたエレベーターの操作盤です。ドアの横には点字付きの操作盤があり、横壁には車いす使用者のために低い位置に別の操作盤があります。
大規模施設のエレベーターでは一般的になっている形式だと思いますので、一見よく考えられているように見えるかもしれません。ところが、
この操作盤はバリアフリーだが、ユニバーサルデザインにはなっていない
と言われたらどうでしょうか。いったい、どこに問題があるのでしょうか?
そこで、私の登場です。私は身長126cmの全盲で、肘が真っ直ぐに伸びないために手が届く最高点は135cmです。写真でいうと、扉横の操作盤で最上階のボタンに背伸びしてやっと届く程度です。
私はエレベーターで扉横の操作盤が高すぎることが多いため、基本的に車いす用の操作盤にいつも向かいます。しかし、このコレド室町のエレベーターでは扉横の操作盤にしか点字が表示されていないため、私は最上階に単独では行けないかもしれないのです。万が一、全盲の子どもが1人でこのエレベーターに乗り込んだら、誰かが乗り込んでくるまでカゴから出られなくなる危険すらあります。
どうして、こんなことになったのでしょうか?おそらく、これがバリアフリーとユニバーサルデザインの違いかと思います。
- 車いすの人でも操作できる位置にボタンを設ける
- 視覚障害者のために操作盤に点字を付ける
この2点がバラバラに、交わることなく実行されたのでしょう。その結果、車いす使用者のための低い位置の横壁操作盤、視覚障害者用の扉横の点字表示つき操作盤ということになったのではないかと想像されます。
最初から点字や浮き出し文字をボタンや操作盤に付ければ、コストを抑えて突部分が摩耗しにくいパネルができます。しかし、後から点字や浮き出し文字のシールを張り付けることになると、剥がれていないかの確認とメンテナンスが必要になりますし、なにより見栄えがよくなくなってしまいます。
わずかに気づきや想像力が足りなかったため、このような中途半端な結果になってしまったのでしょうか。2014年3月20日にオープンした新しい施設だけに、本当に残念です。
【参考】