「障害の有無にかかわらず」というとらえ方

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「誰にも」と同じように、ユニバーサルデザインの定義に誤って使われる言い回しがあります。それは「障害の有無にかかわらず」で、広辞苑では「ユニバーサルデザイン」は次のように説明されています。

ユニバーサル‐デザイン【universal design】
年齢や障害の有無にかかわらず、すべての人が使いやすいように工夫された用具・建造物などのデザイン。→バリアフリー。
(広辞苑第6版、岩波書店、2008年1月11日)

バリアフリーでは障害の種類が重要ですが、ユニバーサルデザインでは障害そのものが個性の1つと見なされます。「障害」という単語は便利上使われるだけで、本質的にその人の能力の違いとして扱われます。

「ユニバーサルデザイン」を正確に説明すると、上野文章は次のように書き換わります。

年齢・性別・国籍や能力の如何にかかわらずできる限り多くの人が使いやすいように工夫された用具・建造物・サービスなどのデザイン。

この言葉があることによって確実にバリアフリーとユニバーサルデザインは分けられます。

つまり、バリアフリーとユニバーサルデザインでは「障害」のとらえ方が全く違うのです。そして、この大きな違いは現在の障害者の差別や権利に対するとらえ方や取り組みとも係わっています。