「障害者差別解消法」は、国連の国際人権宣言を受けて制定された法律です。前提となった障害者権利条約は、2006年に開かれた第61回国連総会の中で全会一致で採択されました。
国際権利条約は、日本の法制度ではどのように位置づけられるのでしょうか。細かい議論は法律の専門家にお任せするとして、一般的には日本国憲法の直下に位置すると理解してよいようです。すると、さまざまな日本の国内法は、憲法と条約を守っていなければならないことになります。
言い方を代えれば、国連の国際条約は、各国が批准しなければ国内法にする必要はありません。日本政府は2006年当初、早いうちに国際障害者権利条約を批准しようと考えていたようです。当時の日本政府は内閣府を中心に、日本のバリアフリーは世界最高だから国内法は現状で問題ない、という認識だったのだろうと思います。
しかし、思わぬところからストップがかかりました。批准に賛成すると思われた障害者団体から、次々と待ったっ!の声がかかったのです。実際に条約を読んでみるとわかるのですが、「障害」という言葉の定義自体が日本と海外では全く違ってしまっていたのです。
国際人権宣言で障害の定義が大きく変わっていたため、日本の「福祉六法」と呼ばれる福祉関連の法律はもちろん、社会や教育に係わる法律も全体的な見直しが必要になりました。いろいろと紆余曲折があったようですが、日本はようやく、2014年1月に141番目の批准国となりました。
【参考】