音サインの目的

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人が受け取る五感情報のうち、80%が視覚情報で10%ほどが聴覚情報だとされています。極端な主張では、90%が視覚情報で3%ほどが聴覚情報だとする説もあります。これら数値の根拠は全く見出せないのですが、現代が視覚優位社会であることに異論はないでしょう。

しかし、私たちの日常生活を振り返ってみると、視覚情報を過信し過ぎている一方で聴覚情報を蔑ろにしていると思わざるを得ません。例えば、デジタルカメラで写真を撮ってもらうとき、ATMのタッチパネルで暗証番号を入力するときを想像してみてください。

自分のデジカメを誰かに渡して写真を撮ってもらうとき、シャッターを押すタイミングをとる「チーズ」などの言葉をかけてもらうかと思います。その後、シャッター音がして始めて、無事に撮影してもらえたという実感が得られます。もし、シャッター音がしないままデジカメを返されたら、ディスプレイで確認するまで不安なのではないでしょうか。

ATMで暗証番号を入力するときも、少なからず音を手がかりにしています。タッチパネルにふれたときに[ピッ]という音がするので、テンキーパッドに視線を集中することができます。音が全くしなかったら、目的の数字が入力できたかも目で確認しなければならなくなります。おそらく、いつもより操作スピードが落ち、なんだか面倒くさいと感じることがあるかもしれません。

この2例のように、動作音が全くしないと、不安を覚えるのではないでしょうか。視覚情報だけでは完結せず、音のフィードバックがあってこそ安心する場合があるのです。